にっき

勉強したことや思ったことを書きます

インターン行って内定を頂いた話

すみません.日記をつけると決めたのに数ヶ月放置していました.たまにいろいろな人から「このゲームをやって早く感想を書け」とか言われるので,これからはたまに書きたくなったときに書こうと思います.

夏休みに某所にインターンに行ったので,備忘を兼ねてその話を書きます.場所を伏せているのは何となくです*1

正直な話として,当初インターンというものにはあまり行きたくありませんでした.理由を挙げていけばだいたい次のとおりです.

  • 数学してる方が楽しいという自信がある.
  • 研究したい.院生だし.
  • 朝起きたくない.
  • なんだか大変そう.

就活も,上のような理由で終始乗り気ではありませんでした.強いて上にない理由を挙げていくなら,

  • 事情が許すなら博士課程に行きたい.
  • 会社に媚を売りたくない.面接で美辞麗句を並べるのも嫌*2
  • 数学を嫌っている人間と机を並べて仕事をしたくない.
  • なんだか大変そう.

といったところです.

そうは言っても,これを真正面から通そうとしたら行き先は博士課程一択です.ですが博士課程で生き残れる絶対の自信を持てるほど私の精神は頑丈ではありません.もっと一般論として,こんな我儘が通るんだったら人生もう少しちょろいはずです.

少し重い腰を上げて,就活イベントに参加し,インターンに行きました.そこで若干の心変わりをして,かなり早めの内定をいただくところまで行きました.全部を書くと長いので,上に挙げたような「就活」とか「インターン」とかに対する精神的障壁のようなものに関連するところを書きます.

就活イベントについて
  • 存在を知ったのは研究室の先輩経由.行こうと思った直接の理由はタダ飯期待値が1食分を越えていることが明らかだったから.
  • イベントでは各企業に対して,数学が好きで,プログラミングと機械学習が好きじゃない旨をはっきり伝えた.これは結果として合わない会社さんを早い段階で特定できたので良かった.
  • 数学好きならぜひ来てくれ,と熱烈に言ってくれた会社さんが1社だけあったので,その会社さんのインターン参加のプロセスに進んだ.その会社さんには博士中退の人や応用数学の博士持ちの人がいると聞いたので,博士に行く場合の人生のお手本を見たいという気持ちでちょっと様子を見てみることにした.
インターンについて
  • インターン参加のための選考があったが,中身はよく覚えていない.気づいたらインターンに行くことになっていた.期間は2週間.
  • インターンの課題はかなりぼんやりとしたものが与えられた.手の付け所が分からない程度にぼんやりしていた.当初想定していたような,これをやれ,あれをやれという感じではなかった.自分で考えて頑張ってね,的な感じだった.なので最初方向性を決めるまでだいぶ苦労した.
  • データがあって,それに対して仮説を立てて,その仮説を検証するというプロセスを踏むことになったが,これは研究のサイクルと酷似していることに気づいた.博士に行かずに一旦就職するのも悪くないかと思った理由.
  • 数学っぽいことはまったくやらなかった.強いて言えば古典論理に基づく推論をした.後から振り返ると,評価された点はこの推論をきちんとやったことくらいな気がする*3
  • 特に午前中などの眠いときはよく机を離れて気分転換にオフィス内をランダムウォークしていた.お昼から調子が出るのがいつものことだった.
  • 残業はほとんどしなかった.そもそも残業は全く推奨されていなかったので,社員さんより早く帰ることもよくあった.
  • 進捗管理はほとんどされなかった.社員さんも「進捗管理はしたくない.議論の相手になりたいので,何か見せるなら議論可能なフォーマットにして」と言っていた.最初何を言っているのかよくわからなかったが,要するにゼミのレジュメ切ったり論文書くのと同じ要領で相手に伝わるように見せれば良いのだとわかってから捗った.
  • インターンの働きは最終的には高く評価して頂けたようだった.ありがとうございます.
選考について
  • プログラミングの課題をやって,その後ちょっと口頭試問を受けた.普段勉強していないアルゴリズムの基本事項を聞かれて,結果はボロボロだった.
  • 仕事上はアルゴリズムの話もやることになるわけだけどそれもちゃんとわかってほしいという意図があるらしかった.色々話をして,まあ私なりの(つらくなさそうな)働き方のイメージが掴めたのと,「100%自分のやりたいことだけやれるとは限らないよ」ということを会社さん側から明示してくれたのは個人的には高評価だった.自分のやりたいことだけやれるとは限らないのは研究職でも多分同じだろう.
  • これを機会にちゃんとアルゴリズム機械学習の各種手法について日頃から勉強しようと心に決めた.今日もアルゴリズムデザインを読んでいた.
  • 他にも面接を何回か受けた.自分の長所や短所を聞かれる事もあったが,素直に答えた*4.一切話を盛っていないのかと言われると何とも言えないが,嘘は言ってないはず.
  • 結果としては内定を頂いた.ありがとうございます.
その他印象に残ったエピソード
  • 雑談で趣味を聞かれたときは「勉強」と答えた.時間があればデレステするか勉強するかどちらかであるから,嘘は言ってない.
  • ある社員さんが,「学生と違って社会に出ると厳しいとかいう巷の主張は意味がわからない,そういうことを言うやつは余程ぬるい学生生活を送ってきたのだと解釈してニコニコしている」と言っていたのを覚えている.ニコニコで済ませるあたりに高い社会性を感じたので見習いたい.
  • その社員さんであるが,「学生の頃から成果を出すことには拘ってきたし,社会人になってもそれは変わらない.ずっと学生気分で仕事をしている」とも言っていた.もし博士に進むにしても会社で働くにしても,どちらかを選ぶことが自分のスタイルに本質的な選択・変更を迫られるようではダメだという学びになった.
全体を通して

上にも簡単に書きましたが,結局私が出会ったその会社さんで働くのも,研究職としてやっていくのもまあボチボチ同じようなものだと思ったのが就活をする心変わりをした理由だと思います.

そうは言っても勉強や研究をしている時間は幸せな時間です.博士号への憧れは強いし,修士を出てすぐに民間で働くことにしたとしても,どこかで博士号を取って自分なりに何かしら研究成果と呼ぶに相応しいものを残してやりたいと思っています.但し,具体的にどのようなルートを設計するかはまだ決めていませんが,一度会社で働くことで得られるものはとみに多いはずという確信があるので,今のところ直接進学の可能性は低いです*5

他人に「就活はこんな感じでやると良いよ」とかおすすめするのは気が引ける例を構成してしまいましたが,この手のものは肩の力を抜いて適当にやるくらいが,存外幸せなのかもしれません.

*1:というか,インターン中取り交わした守秘義務の課せられている範囲を私が忘れてしまったので,かなりぼんやりした記事になってます.すみません.

*2:子供じみた意地を張っている側面は否定しないしできないが,何より私の性格からして,媚を売って入ってもお互い不幸せになるだけだと思ってのこと.

*3:古典論理に基づく推論ができることそのものに正の市場価値が伴うのではないかという仮説を今のところ持っているが,確信には至っていない.個人的には棄却したい仮説であるーなぜなら,多少数学を真面目に勉強した人間ならば絶対にできるはずの能力だから.

*4:工学部だけど数学はちゃんとやることに自負を持っている,とか,あまりにちゃんとやりすぎるので周りの人々からよく煙たがられる,とか.読んで印象に残った本を挙げてと言われたときは斎藤毅「線形代数の世界」を挙げた.

*5:どうなるかなんて自分でもわかりませんが.「将来どうするの/何になるの」という質問は(個人的な経験も手伝って)かなり苦手で,訊かれるたびにGUNSLINGER GIRLのアレッサンドロの言葉を思い出します―3年後の自分の生死だってわかりゃしない,と.